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DX推進はシステムベンダーに聞いても分からない?

COLUMN2023.03.17

御社はどのようにDXを推進されていますか? 社内で号令はかかるが、会社としての方針が曖昧、推進担当として何から手を付けたら良いかわからない、と言われる方も少なく無いのではないでしょうか?

昨今のIT活用の高度化で外部ベンダーにITシステムの構築を発注(依存する?)することが当たり前ですが、では、DX推進も従来の「業務をITシステム化する」ようにシステムベンダーに発注すれば事足りるのでしょうか?

ここで少し話がそれますが、総務省の情報通信白書(H30版)より 日米のICT人材の構成比較を(図1)に示します。産業規模の違いもありますが、米国のICT人材が日本に比べて豊富なのが分かりますが、着目したいのは米国ではICT人材がユーザ企業に6割以上に対し、日本ではユーザ企業に3割未満、ベンダー企業に7割と逆転していることです。ここから何が言えるのでしょうか?

既にいろいろなところで指摘されていますが、米国ではユーザ企業自身でITシステム化、DX推進を主体的に進めています。日本ではユーザ企業に在籍するIT人材が相対的に少なく、一部の大手企業を除きユーザ企業主体で進めるこが充分できず、ベンダー企業に多くを依存せざるを得ない状況があり、悪くするとシステムベンダーにITシステム化を「丸投げ」する状態に陥り易い傾向があります。

図1 日本と米国の情報処理・通信に携わるICT人材 (総務省hpより)

 

では、ユーザ企業においてDXを推進するにはどのようにすれば良いのでしょうか?

これまでも、業務のデジタル化(IT化)で指摘されてきましたが、どの業務をITシステム化するのか、良いシステムベンダーを選定することも必要ですが、そのITシステム化の要件定義でユーザ企業がどこまで主体的に取り組むことができるかで、システム化の成否が決まると言っても過言ではありませんでした。

DXはこれまでの業務のデジタル化の延長線上にあるのではなく、その企業の強み弱み、対象とするマーケットの変化の見極めを踏まえた経営戦略に基づいて業務の見直し/再構築をITシステム化することにあります。システムベンダーは対象業務のシステム化要件定義はできても、経営戦略に基づいた業務の見直しまでは対応はできません。これができるのは、ユーザ企業自身なのです。

DXを推進するには、業務のデジタル化だけでは不十分で、経営戦略に基づいた業務の再構築を進めながらデジタル化することが必要で、それを担うチームとしては経営企画あるいは業務部門と情報システムそれぞれの業務を理解できるメンバーで構成されることが望ましいですが、経験が浅くとも、これらのことを理解できる素養のある若手を登用することも検討して見ては如何でしょうか?

<参考文献>
1)  各務 茂雄、「日本流DX: 「人」と「ノウハウ」 究極のアナログをデジタルにするDX進化論」, 2022, 東洋経済新報社