プロジェクトにはさまざまなスタイルや性格のメンバーがいます。
この個人間の差異を見るときの枠組みの一つであるMBTI(Myers–Briggs Type Indicator、マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)の分類に応じたコミュニケーションを紹介します。*1)
MBTIでは、次の4つの指標のペアでその人の好み(選好)を表します。
- 興味関心の方向 外向的 / 内向的
- ものの見方 感覚的(現実的)/ 直観的
- 判断の仕方 思考的 / 感情的(情緒的)
- 外界への接し方 判断的(規範的)/ 知覚的(柔軟的)
1.外向的メンバーとのコミュニケーション
このタイプのメンバーは、他人との付き合いを好み、話し言葉でのコミュニケーションが極めて多い人です。
・直接会う機会を持ち、自らの考えを発言させます。
・グループ・ミーティングでは、支配的な言動になり易いので許容範囲に抑えましょう。
2.内向的メンバーとのコミュニケーション
内向的な人は、グループ討議では控えめな態度をとり、思慮深く内省的な傾向があります。
・一対一の環境で、自己開示的に話できるようにします。
・メールや文書などで課題を伝え、考え抜く時間をとれるようにしましょう。
3.感覚的メンバーとのコミュニケーション
感覚的(現実的)な人は、具体的、直接的なものを重視し、細部まで注意しながら着実なペースで働きます。
・事実や事例などの具体的な重要情報を伝えましょう。
・目の前の用件だけを伝え、それ以外のことへの注意散漫になることを避けましょう。
4.直観的メンバーとのコミュニケーション
直観的なスタイルで社会を捉え、「ビジョン」を生み出すことを好みます。決まりきった仕事には退屈を感じます。
・課題の全体像と、プロジェクトの目標と組織のビジョンについて議論しましょう。
・「ビジョン」にとらわれて、現在の問題とは無関係に見える話を持ち出す場合があるので注意が必要です。
5.思考的メンバーとのコミュニケーション
このタイプの人のコミュニケーションは、簡潔で事実を論理的に示すことに重点をおきます。
・事実の評価に基づいた分析に焦点をあて、論理的な議論を提起します。
・砕けた会話にはあまり興味がなく、核心をついた話をしましょう。
6.感情的メンバーとのコミュニケーション
感情的(情緒的)な人は、個人的な価値観、人々の感情など、状況について主観的な側面から判断します。
・議論するときは、相手の価値観に訴えましょう。
・問題解決の対話をする前に、心を打ち明けて、相手の感情を伝えてもらうことが必要だということを考慮しましょう。
7.判断的メンバーとのコミュニケーション
判断的(規範的)な人間は、プロジェクト計画やWBS、個別課題にこだわり、一つ終わってから次に進むことを好みます。
・議論の目的の議題と概要をきちんと準備し、秩序ある方法であなたのメッセージを伝えましょう。
・終結に向かって仕事をするタイプなので、会話の時間と目的をあらかじめ定めておき、会話を結論に向かって進めましょう。
8.知覚的メンバーとのコミュニケーション
知覚的(柔軟的)な人は柔軟性と自発性を好み、一度に複数の仕事をこなしますが、スケジュールどおり仕事を進めるのが苦手です。
・制約をつけない自由な議論を認め、検討課題に柔軟に対応するようにしましょう。
・本人の考えを認める発言をし、しかし焦点がぶれないようにコントロールしましょう。
MBTIのタイプ分けは、固定的なものではなく、その人との関係性や置かれている状況によって変化するものであり、上記にあげた対処方法を柔軟に適用してください。仕事やプロジェクトのメンバーの関わりを考える際の参考にして頂ければと思います。
<参考文献>
*1) Steven W.Flannes・Ginger Levin著、PMI東京支社・吉沢 正文監訳,プロジェクト・マネジャーの人間術,2007,アイテック