キャリアプランとは、長い人生で自分がどのような仕事をしていくかを考え、その将来像を実現するために作成するものです。その将来像はどのように考えれば良いのでしょうか? 既に明確な未来を描ける人は良いですが、普通はなかなかそこまでできる人は少ないでしよう。
ここで、キャリアプランを考える上で参考となる 「計画された偶然性」理論(米国スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提唱)について紹介します。
この理論は、キャリアは予期しない偶然の出来事で8割が決まるとの研究結果から、自分が考えている将来の方向とは必ずしも一致せずに、携わる仕事によりキャリアの方向が決まるとしています。また、自分のキャリアにおいて、この偶然性が起こりやすい状況を計画的につくりために5つの行動特性を挙げています。
- 何ごとにも 好奇心 (Curiosity) を持って行動する
- 粘り強く 持続性 (Persistence) があること
- ものごとに 柔軟性 (Flexibiliy) を持って対応する
- ものごとを 楽観的 (Optimism) にみる
- 冒険心 (Risk Taking) を忘れないこと
キャリアプランとは未来を考えることなのですが、まずは、携わっている仕事に集中するとともに、まわりの状況にも目配りと好奇心を持って観察し、その変化を察知して新しいチャンスを生かすことではないでしょうか? この状況観察と変化の察知をするためには、自ら学ぶ姿勢を持ち実践することが必要だと思います。
現実は、日本のビジネスパーソンで自己学習や自己研鑽に多くの時間を費やす人は少数派だと言われています。ある調査によると、学ばない人の共通なマインドセット(外的要因ではなくその人の価値判断)として「仕事は運しだい」、「ほどほどのキャリア」、「地頭重視(固定的知能観)」の三つの因子があり、学びを実践しなしマイナス要因としてあるようです。*1)
(図の出典:中原 淳 他「働くみんなの必修講義 転職学」, KADOKAWA ,2021)を一部改変)
この学びの意欲を減衰するマインドセットをどのようして変えていけば良いのでしょうか? 今の業務をこなす上で必要知識を学ぶことに加えて、職場の上司や、同僚から良い刺激を受ける環境であるかどうかも大事なことです。組織外での交流(他社や異業種の人たち)の機会を持つことも良いことでしょう。いずれにしても、自らの状況(感じていることや関心のあること)を他者とコミュニケーションすることで新たな刺激を受け、学び直しの意識を呼び起こすことではないでしょうか?
<参考文献>
*1) 中原 淳・小林 祐児・パーソル総合研究所、「働くみんなの必修講義 転職学 人生が豊かになる科学的なキャリア行動とは」, KADOKAWA ,2021