INFORMATION

「メンタルモデル」とは

COLUMN2022.01.12

今日は、社会、ビジネス、組織、個人あらゆるレベルの問題、課題を捉えるうえで重要な視点となる「メンタルモデル」について紹介します。

メンタルモデルとは、『物事の見方や行動に大きく影響を与える固定観念や、暗黙の前提』のことです。元々は認知心理学という分野の言葉で、人が何かの思考や行動にいたる前提としてメンタルモデルが存在します。

同じ事象を見ても、人により捉え方が異なり、その対処・解決の方法も異なってきます。例えば、会議で課題分析をしてもAさんとBさんで異なる意見が出ることは、よくあることです。この場合、問題の認識の差が、対象事象の情報量の差によることと情報の解釈・理解に起因することに分けられます。前者は時間をかけて該当する情報を収集すればある程度解決しますが、後者はその人の物事の見方や行動に影響を与える固定概念、すなわちメンタルモデルにより異なる意見・対処方法が出てくるのです。

今まで意識していなかった自分の中のメンタルモデルを意識することで、より良い思考につなげていくことが大切です。システム思考の観点で図示すれば、「シングル・ループ学習」と「ダブル・ループ学習」*1)の図として表せます。

このメンタルモデルをどのように意識し認識すれば良いのでしょうか?

 ものごとの解釈や判断をする際に、潜在意識(無意識)にあるメンタルモデルに基づいて判断・行動している場合が多いですが、同じ事象に対し他者と意見を交わし(議論する)他者との違いを論理的に整理することで自分と他者もメンタルモデルの違いを理解することはできます。普段からこのことを意識して、他者と対話し行動することで今まで気づかなかった自分のメンタルモデルを意識して方針に反映して行くことができます。

 組織のなかで、とくに会社組織で上記のような意見交換し議論するうえで大切なことは、自分の考えを上司やまわりの人たちに遠慮せずに言える環境かどうかです。いわゆる「心理的安全性」が担保された組織かどうかです。

 もう一つ大事なことは、「無知の知」(無知であることを知っている(自覚している)こと)を頭に置きながら、他者と意見を交わすことです。自分の無知がどこにあるかを意識できると質問もし易くなると思います。但し、お客様対応するSEは「無知の知」のうえに事前準備を怠らないことが肝要です。

<参考文献>
*1) 枝廣 淳子・小田 理一郎、「もっと使いこなす! 「システム思考」教本」, 東洋経済新報社 ,2010