~前2回に分けてお伝えしました「ナレッジマネジメント」について、今回は当社代表井上の考察をお伝えします。~
日本の製造業を再興し世界一に引き上げる事を目標に株式会社TOPWELL(代表取締役:井上康秀 本社:大阪市)は、国内製造業の最新トピックや調査結果を、ニュースレター『TOPWELL通信』としてお届けしています。
※ナレッジマネジメントの定義:「わからないことがあれば社内の誰に聞けばわかるのか?が分かる」ように、個々の社員が持っている知識や情報を「会社の財産」として共有し、有効活⽤すること。
調査の結果、実施しているナレッジマネジメントについては、「1.マニュアルを作成し、知識の共有を図っている」が140社(回答社数全体の58.8%)で最も多く、次いで「4.集めた社員の知識を社内のデータベースで共有している」が112 社(同47.1%)、「3.ナレッジを引き継ぎたい⼈に対し、OJT を実施している」が102 社(同42.9%)と続きました。
前々回の記事はこちらから→「ナレッジマネジメントの実施」について
ナレッジマネジメントの課題については、「3.社員が持つ経験・知識を効果的に活⽤できていない」が112社(回答社数全体の49.8%)で最も多く、次いで「2.社員が持つ経験・知識を共有できていない」が76社(同33.8%)、「6.その他」が57 社(同25.3%)と続きました。
前回の記事はこちらから→「ナレッジマネジメントの課題」について
ナレッジマネジメントにおける課題と解決策
「トランザクティブ・メモリー」を活用せよ
対象企業1,000社への調査を実施したところ、“ナレッジマネジメントの実施”では「1.マニュアルを作成し、知識の共有を図っている(回答社数全体の58.8%)」や「4.集めた社員の知識を社内のデータベースで共有している(同47.1%)」といったナレッジの属人化を防ぐために共有する仕組みを構築している企業が多かった。それにも関わらず“ナレッジマネジメントの課題”においては、「3.社員が持つ経験・知識を効果的に活⽤できていない(回答社数全体の49.8%)」と約半数が共有しているナレッジの有効活用について課題を感じている。
これらの結果からナレッジマネジメントについての仕組み作りを構築することで満足してしまうといった手段の目的化に陥っていることが推察される。ナレッジは「蓄積」されるだけでは価値を持たず「活用」してはじめて効果を発揮する。では、どのように蓄積されたナレッジを活用することが望ましいのだろうか?たとえば、企業内に散在しているドキュメントやメールなどのデータ、CADなどの技術データを一箇所に収集しテキストマイニングなどの技術を使用して情報を整理し利用者に提供することなども昨今の技術トレンドにマッチした打ち手として考えられる。しかし、そのような仕組みを構築できる企業は限られているであろう。
そこで、筆者が提案したい打ち手としては、ナレッジのインデックス情報のみを収集したデータベースを構築することである。これはナレッジマネジメント(正確には組織学習)の研究分野では、「トランザクティブ・メモリー」という概念として知られており、きわめて重要なコンセプトである。この「トランザクティブ・メモリー」とは、組織内での“Who knows What”、いわば誰が何を知っているのかの情報のことを言う。従来のナレッジマネジメントでは、知識の属人化を避けるために各人のナレッジを如何に組織内で共有するのかに焦点をあてていた。しかし、そもそも個人の持てる知識の量には限界がある。そこで、“誰が何を知っているのか”の情報(いわばナレッジのインデックス情報)のみを各人が共有すれば良いというわけだ。「トランザクティブ・メモリー」を高めていくことが最も効率的にナレッジを活用できることになり、しいては組織パフォーマンスの向上にもつながるといった考え方である。
我々はICT技術の高度化によって、大量のデータをデジタル化し収集できるようになった。しかし収集されたデータは、上手く活用できなくては全く意味をなさない。収集したデータの活用方法のひとつとして「トランザクティブ・メモリー」のような概念を利用することも一案ではないだろうか
(代表取締役:井上康秀)
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●調査概要
調査:株式会社TOPWELL
調査方法:郵送・電話による聞き取り調査
調査対象:業種_製造業(売上高上位1000社)
本社所在地_茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都
神奈川県・新潟県・富山県・石川県・福井県・山梨県・長野県
調査実施期間:2020年2月18日(火)~2020年3月19日(木)